ミニマリストのコストとリスク

断捨離、ミニマリストシンプルライフ、つまるところこういったイズムは全て、生まれながらにして高度に発達した現代社会の様々を滞りなく他者から享受してきた世代以降が行き着く先だと考えている。

ここでは断捨離、ミニマリストシンプルライフを総称して『持たない暮らし』と呼ぶことにしよう。たとえば最寄りのコンビニでいつでも100円で美味しいコーヒーが買えるから自宅のコーヒー器具を処分しました、という事案は物質的にはコーヒー器具が減るし、コーヒー豆を買って挽くという費用・手間・時間が効率化される。まさに持たない暮らしを体現している。ビバ!アウトソーシング、我々資本主義の犬は金さえ払えばよりよい暮らしが保証されるのである。

さて次の日、最寄りのコンビニに弾道ミサイルが着弾、あたり一面を焼夷弾で焼き払われ主要インフラも機能不全、なんてことになれば美味しいコーヒーを飲むためにかなりの労力を使わなければならなくなる。

一般的にコストを削減すればリスクが増大する。しかし持たない暮らしにおいてはコストもリスクも増大する。マネジメントの介在する余地のない非常にピーキー生活様式であるということを理解しておかなければならない。極限の持たない暮らしは生きることに希薄で、生き残ることに執着しない人が行き着く先でなければならないと考えたい。