ボウリング

久しぶりにボウリングをした。社会保険事務所だか年金事務所だかが主催をする支部対抗ボウリング大会は僕の地域では恒例になっていて、五十を超えるレーン数のボウリング場がいっぱいになってしまうくらい好評である。実際にはお役所にお願いされたらノーとは言えない日本企業の縮図がそこにはあるとか言いたいけれど、そんな難しい話ではなくもちろん付き合いではあるのだけれど、どこの企業の選抜チームもわいわいと楽しくやっていた。

ガキのころは家族でよくボウリングをした。もっとも下関には家族で遊べるような商業施設がボウリングとカラオケくらいしかないからボウリングが取り立てて好きというわけではなかったし都会はもっと洒落た遊びをやってんだろと思っていたけれど、ドリームクラブという小奇麗なキャバクラゲームの店外デートがボウリングだったりするので、あの日浅草でかぶりついた股間よりはポピュラーな娯楽なのだろうと思わされた。

社会人になってボウリングをする機会なんてのは友達と遊ぶときくらいだと思っていたけれど、しかしこれが会社関係の人付き合いにはよく出てくる。特に保険会社が主催するものにお呼びがかかることが多く、ボウリングというスポーツを通して少しでも被保険者の健康を促進して我が社の保険金支払いを減らそうという魂胆が見え見えであるとかそんな卑屈な発想しか出来ない僕はたぶん給付対象外のケースで痛い思いをするんじゃないかなと思った。まぁ、老若男女のコミュニケーションにボウリングはベターという話だ。

さて、弊社にはボウリング好きのアマチュアが何名かいてクラブチームに入っている前社長から誘われてしばらく僕もマイボールとマイシューズなんて揃えて少しだけボウリングを齧っていた。ボウリング場では、ハウスボールを無理な体制から回転をかけてボールを曲げようと躍起になるもののそんなコントロールでは案の定ガーターという、チーマーの風物詩でお馴染みの光景に出くわすことが多い。ボウリングを始めるとあれが如何に馬鹿な行為かがよくわかって面白い。

ボウリングは高齢になっても続けることが出来るらしい。ひょっとすると今この瞬間にお迎えがきてもおかしくはないようなご老人が悠々と15ポンドのマイボールを投げて立て続けにストライクをとっていく。日本全国、あなたの街のボウリング場にもそんなご老人がたくさんいる。かつてチーマーは老人からフックボールを教わったとかそんな感じで姥捨て山伝説にでも加えたいくらいである。