愛車

そういえばまだ自動車税を払っていない。車両名義が親の名前になっている都合で払込用紙は毎年実家に届く。そんなわけでいつも支払うのを忘れてしまうのであるとかそんな話ならよかったんだけど、現実には三万四千五百円を支払う余裕なんてないので、夏の賞与待ちだった。

自分の車を手に入れたのは高校を卒業してすぐの四月だった。普通自動車の免許はもちろん卒業前に取得していたけれど、クルマの知識はまるでなかった。代わりに頭文字Dの知識だけは豊富にあったので「俺と優香とスーパーカー」とか思ったりしたけどそんなお金はどこにもなかったので、結局親父の知り合いの中古屋から程度のよいワンオーナーのハッチバックを三十六回払いで買った。それが僕とスターレットとの出会いだった。

車を買ってからすぐは随分とドライブをした。助手席もリアシートも野郎だらけだった。事故も二回ほど経験した。荷物を満載にして二回ほど引越し作業もやった。カーセックスは狭くて無理だった。まさに「青春のスターレット」だった。そのうちホイールやらマフラーやらエンジンルームの中やら追加メーターやらいろいろ弄ったけれどあれはお金の無駄なのでやめたほうがいいなと思った。

十八歳のころに買ってから二十六歳の今までずっと愛車はトヨタスターレット。最初一万四千だったオドメーターは十万を超えている。いままでトラブルなんて起きたことがない。壊れる日まで乗り続けていきたい。