ファンタシースターオンライン 5周年に寄せて

2000年。わたしはまだ高校生だった。

セガ信者だった私は、セガサターンの後継機として迷わずドリームキャストを購入し、毎日のようにゲームに熱中していた。

そんな折、弟が一本のゲームを買ってきた。

それは、ネットワークを介して他のプレイヤーとともに冒険をするという、当時としては珍しいコンシューマ機専用のオンラインRPGだった。
オフラインでプレイするそれは別段おもしろくもなんともない3DアクションRPGだったのだが、ひとたびオンラインでプレイするとそこには今までに体験したことのない新しい世界が広がっていた。

それが、私と『ファンタシースターオンライン』との出会いだった。

当時ブロードバンドは普及しておらず、ネットに繋ぐにはもっぱらアナログ回線、よくてISDN回線といったユーザーが大半。さらに高額の通信料を請求されていた。未成年の私にそのような大金を払えるはずもなく、オンラインでのプレイは、親からの「あの白い線を繋ぐな」の言葉とともに終わりを告げた。

時は流れて、2002年3月。

すでに就職していた私は、Xboxとブロードバンド回線を手に入れ、ついに『ファンタシースターオンライン』との再会を果たす。
未成年時代の鬱憤を晴らすかのように毎日のようにオンラインで遊ぶ日々が続いた。チームにも所属し仲間と呼べるプレイヤーが何人も出来た。

しかしながら、そんな楽しい日々にも終わりは訪れる。

キャラクターの育成も終盤に差し掛かり、変化のないゲームシステム、オンラインプレイヤーの減少、家庭環境の変化も手伝って、ゲームはおろかコンシューマ機をすべて手放したのだ。

そして時は2005年冬。現在。

ファンタシースターオンライン』の続編となる『ファンタシースターユニバース』の発売日が2006年2月16日に決定した。
いままでDC版、GC版、Xbox版、PC版とそれぞれに別れていたユーザーがひとつの世界でプレイできるチャンスがやってきたのである。

わたしは錆付いたゲーム感覚を取り戻すために『ファンタシースターオンライン ブルーバースト』でふたたびオンラインプレイを始めた。

マグにエサをあげること、アンドロイドはトラップが視認できること、ダンジョンの回復ポイントが別名「温泉」と呼ばれていたこと、ドラゴンは頭を狙うこと、ボス戦が終われば「お疲れ様」と相手をねぎらうこと、メセタじゃんけん等等、当時は当たり前だったことが今はとても新鮮に感じられ、また懐かしかった。

またあのころのような素晴らしい出会いや感動があるかどうかはわからないが、5年間の思いとともに私は今日もラグオルに降り立つ。

※本稿は2005年に書いた文章をそのまま掲載しています。