平成24年の200円はMJ5の貨幣価値に換算すると3分である。

 僕は愛妻弁当部なんだけど、夕食を外食で済ませた次の日なんかは昨晩の残り物と冷食で彩られるお弁当は当然なくて、会社近くのラウンドワン内のココイチで昼食をとって、ついでにセガネットワーク対戦麻雀MJ5をプレイして帰社するというパターンが稀によくある。

 今日も今日とてポークカレー+野菜サラダ=610円を食べ終え、店長と思しき人にもうかれこれ数ヶ月は毎回キレられまくってる男性バイト店員に頑張れ、でももうそろそろ転職も視野に入れようと心の中で唱えつつ、意気揚々とMJ5サテライト筐体横の席に陣取り、おもむろに携帯電話をかざしながら200円(3クレジット)を投入し、公式モード>半荘戦リーグ>タイムオーバー無を選択後、ワイシャツの胸ポケットに入っているはずのショートピースとライターを弄りながら、そういえば禁煙していることに気がついて苦笑した。

 

 さて、全国から暇人がそろったようで、いよいよ半荘戦が始まった。

 「東1局、ドラは北になりました、プレイヤーは親です」

 東パツかよと実況アナウンサーに愚痴りながら掴んだ肝心の配牌は、

 57一三三四七九②③③④⑧ 白

 悪くない。そう思ったが、打牌とツモが噛み合わなかった。そうこうしてる間に上家は下家から八索、対面から六索をそれぞれポンしてまだ河も折り返してない状態で2フーロと着々と手を進めている。

 この時点で飜牌は四方に分散するように切れていた。上家は役牌バックの鳴き仕掛けとは考えにくく、普通ならクイタンかトイトイ、ドラドラのホンイツあたりを予想するだろうか。しかしながらそこは普通じゃないでおなじみのMJというかセガなので、僕はまだ六巡目だけどきっとチンイツ張ってるだろうなと予想して索子を絞ることにした。

 七巡目、あるいは九巡目だったか、対面が二索を上家に放銃した。

 ほれみろチンイツだ、そう思った矢先のことだった。

「これは和了った人を褒めるし「おいィ?」しょう」

 実況アナウンサーの死の宣告と僕の言霊がかぶり、筐体から派手なエフェクトとサウンドが繰り出され、画面上には大きく上がり役が映し出される。

 發なし緑一色。それは麻雀の中でも特に難しく、そして綺麗な役満だった。

 対面の飛び終了で3分でゲームオーバーとなり、ため息混じりに席をたつ。

 やはり昼食はカツカレーを食わざるを得ない。