取り留めの無い話

或いは君の知らない物語

世間的には四月馬鹿や入社式も終わって数日、インターネット上のニュースも随分と落ち着いてきて、平年より早く開花した日本列島の桜も秒速5センチメートルで散り始め、別れと出会いの季節を演出している今日この頃、僕にとってはシューター部が解散してから数日たった麗らかな春の午後である。

シューター部とは、はてなグループのついったー部に所属するシューティングゲーム好きが集まるコミュニティであった。日本のTwitter黎明期から活動を開始し、部員名簿も700を超え、そのほとんどをフォローしていた僕のタイムラインの中心的存在であり続けた。

シューター部を冠したオフ会に二度ほど参加したことがある。最初は2008年、大阪でのことだった。2008年といえば、まだシューター部の中ではチョコパイとサルミアッキが現役のころで、当時は思い出のシューティングゲームをそれぞれ発表していて、僕はSFC版「実況おしゃべりパロディウス」と答えたと記憶している。そういえば、あの時ぜひプレイしたいなと思ったザ・グレイト・ラグタイムショーは未だにプレイしていない。

二度目は実質最後のオフ会になってしまった2013年3月のことで、つい先日の出来事である。シューター部は毎年大規模な忘年会を開催していて、いつかは弾幕セレブの集まりに出席したいと思っていたが、結局その夢は叶わぬまま2012年の忘年会で解散が発表され、もうシューター部のオフ会に参加することもないだろうと思っていた矢先に、これが最後のカーテンコールぅ!とばかりに、最後のイベントの開催が予定され、年度末であり卒業旅行のハイシーズンではあったが、嫁に下座りまくってどうにかこうにか東京行きの切符を手に入れたのである。2013年ともなるとドレッシングやガナッシュの話題は鳴りを潜め、バルトロンや導師本の経緯を知る者も少なかったが、それでも老害老害らしく在りし日のシューター部を懐かしんだ。

それはそうと、今年で三十路を迎える。そろそろゲーセンでコインいっこいれる活動にも限界が見えてきたような気がする。実際のところ、結婚後しばらくしてゲーセンのICカードは全て処分してしまっていた。誰かが言っていた、ソーシャルゲームよりゲーセンのほうが高コストだと。確かにそうなのかもしれない。学ランを着た男子たちが仲良くガンダム筐体に腰掛けている様をよく見かける。音ゲー筐体に群がる洒落乙な男女をよく見かける。ナード系の少年たちはクイズゲーに、レースゲー筐体にはおそらくチャリで来た人たち、ダラバー筐体は閑古鳥、そんなラウンドワンの風景を眺めながら、ビジネススーツ姿のおっさんであるところの僕はあそこの麻雀筐体でタバコをプカプカやりながらワンカップを煽るべきなのかもしれないと思いつつ、そそくさと300円を投入してe-AMUSEMENT PASSを取得、PASELIを五千円ほど購入して、ベーシックコースに加入、2013年春、僕はなぜか音ゲーデビューを飾っていた。