『ぷりるん。―特殊相対性幸福論序説』

ぷりるん。―特殊相対性幸福論序説 (一迅社文庫)

ぷりるん。―特殊相対性幸福論序説 (一迅社文庫)

ラブラブ光線絶賛放射中な妹―うずみ(♀)。
元・天才美少女、自由奔放な姉―綾(♀)。
みんなのアイドル、気になるクラスメイト―桃川みう(♀)。
脚がステキな憧れの先輩―小野塚那智(♀)。
彼女たちに振り回される人―ユラキ(♂)。

ユラキの悩みは今日もつきることなく、“ぷりるん”はまた現れる。新感覚系ラブストーリー誕生。

非常に面白かった。最初の数ページは独特の文章に違和感を感じたものの、桃川みうとのデートあたりから一気に読んでしまった。

タイトルや表紙、あらすじやカバー口絵など、どこを見ても昨今のエロ系路線ラノベという印象だったのだけど、しっかりとした爽やか青春小説だった。それでも「これなんてエロゲ?」と言いたい。エロゲとして楽しみたい要素が随所に詰まっている。

ステレオタイプな妹や姉や先輩が揃う中で、桃川みうだけは異彩を放っている。彼女は「ヤンデレ」というより新ジャンル「ヤリデレ」とか言った方がいいのかもしれない。

主人公とその友人との掛け合いも非常に面白い。人生とは会話であるとは誰の言葉か忘れてしまったが、まさに。

登場人物それぞれの思いが絡み合い、ぷりるんによってこの物語が新感覚系ラブストーリーだったことを思い知らされるのである。

十文字青。他の作品が気になる作家だ。