だいたいスタチャのせい

土曜日は父の日ということで、嫁さんと僕の家族を交えて久しぶりの外食をした。山の田に『吉平(きっぺい)』という、僕や弟が幼かったときに家族みんなでワイワイやった思い出の焼き鳥屋があって、引越しなんかで最近は全く行かなくなっていたので今回はそこで食べようということになっていたのだけど、肝心の焼き鳥屋の大将が最近亡くなったらしく、結局はいつも使っている新下関の『博多一番どり居食家あらい』というチェーン店になった。

僕は場の空気とか人の顔色とか極端に読めない体質なので、そこでの食事中に全く気付かなかったのだけど、嫁さんが言うには家族内の空気が微妙だったので気になって僕の妹に聞いたら、父と弟がまだ喧嘩中ということらしかった。

そういえば先日、父と弟は喧嘩をした。事の発端を詳しく聞いていないが、今年の3月に大学を卒業して、就職もせず公務員になるとか当然言い出して、立派な居候として実家に帰ってきた弟に、日頃の生活態度をよく思っていなかった父が、ちょうど虫の居所が悪かったのも手伝って、母と妹のフォローの入らない二人だけの家で怒鳴りつけでもしたのだろう。それで体格のいい弟に胸倉を掴まれて口論になって最終的に「家から出て行け」ということになったらしい。

その後、弟は愛車のジムニーを走らせて、逃避行の終着駅が隣町の母方の実家、つまりおじいちゃんとおばあちゃんの家というなんとも擦れてない一面を見せつつ、お金もないのに無駄に走ったせいでガス欠になりそうだと言う情報が親戚一同の連絡網で僕の携帯にまで回ってきて、結局は二日もしない内に実家に帰ってくるという「25歳からはじめる中学生日記」を披露していた。

僕の実家では口論になる場合、基本的に酒に酔っている父が悪いということになるが、今回ばかりは弟の生活態度が悪いと僕は感じていた。さすがに公務員試験の勉強もほとんどせずに日中ダラダラして深夜にリネージュ2スカイプでは話にならない。ここはビシッと言ってやろうと思うのが良き兄なのだろうけど、ガキのころからトラブルメーカーだった弟に、いくらなんでもさすがにもう25歳だろとうんざりしていて、僕にその気力はなかった。

もう好きにしてくれ、勝手にやってくれ、でも両親にはこれ以上迷惑をかけるな。

そんな事を考える長男が僕以外にも結構いたりしたら安心する。本当に弟は馬鹿だよね。でもやっぱり羨ましいよね。なんか自由だしさ。「お兄ちゃんなんだから我慢しなさい」ってのは子どもにはタブーなんだって嫁さんが言ってたけど、でもお兄ちゃんはいろいろ頑張らないとダメなんだよね。たかが数年違いで生まれてきただけの存在だけどさ、それでもやっぱり僕の弟だからさ、妹だからさ、長男である兄貴はそんな弟妹を守ってあげなきゃダメなんだと思うし、兄弟はずっと仲良しでなくてはダメだと思うし、って自分の事は棚にあげつつ今日はそんな当たり前の話でまとまってない文章を無理やりまとめたい。

いやいやいやいや、読み返してみたら自分で誤解しそうなので追記。今も昔も家族はみんな仲がいいし、おまけに親戚もいい人たちばかりで本当に環境に恵まれていると昔から思う。うろ覚えで恐縮だけど、彼氏彼女の事情で宮沢雪野が「家族なんてうまくいってるのが当たり前だと思ってた」って台詞が確かあって、僕もそれに共感したことを思い出したし、同時にそこらへん時代の誕生日のプレゼントとして買ってもらったのが快傑蒸気探偵団カレカノのサントラ二枚だったことも思い出したし、お兄ちゃんしっかりしてなかった。