黄色のガードレールは伊達じゃない

仕事帰りに川棚に行ったついでに友人の家に立ち寄った。そこは田舎育ちの僕からしてもかなりの秘境ポイントで、急勾配な山道を登った先に家が建っていて、その実家の離れが友人である彼の部屋だった。夏は庭先でバーベキューをしたり、冬はコタツで鍋を食べたりと、周りが森で騒いでも家人からしか文句が出ないことから仲間たちのたまり場になっている。ちなみに秘境とはいったけど、家の下には綺麗に舗装された大きな車道がある。おまけに山道も舗装されているので、さすがどこまでいっても道だけは綺麗な山口県だと思う。

僕は地方在住のヲタクということに劣等感を持っていて、出来る事なら関東圏で暮らしたいといつも思っているが、それでもこの下関の市街地から離れた田舎の友達との付き合いは、だからこその魅力があってかけがえのないものだとも思っている。田舎暮らしの友達はいつも愉快で痛快で難しい話など一切しない底抜けに馬鹿で陽気で、しかもどいつもこいつもヲタクだった。

漁師の友達はイベントがあるたびにヒラマサとウニとサザエを持ってきて三ヶ月に一回、愛車のリアガラスのカッティングシートを彼女に作らせて貼り替える。整備士の友達は姉さん女房である奥さんが閉鎖病棟へ入退院を繰り返す間、会社の上司や同僚と夜な夜なモンハンをプレイする強者だ。郵便局で働く友達は昼夜逆転の仕事で、廃人と一緒にネトゲを楽しむオバイブ信者だ。最近結婚した友達はフレディを映したスクリーンをバックにウィ・ウィル・ロック・ユーで入場、ゆっくり声のナレーションが入るようなそんな披露宴だった。

類は友を呼ぶなんて言葉があるが、何時の間にやらヲタク同士が集まっていた。僕はずっと劣等感を持っていたけれど、彼らを見ていると田舎でヲタクをやるのも悪くはないと思えてくる。同じ趣味をもつ友達ってのは本当に素晴らしい存在だ。