選挙

日曜日に嫁さんと選挙の投票にいった。いままで道路沿いの小さな公民館が投票所だったのだが、投票日に毎回のように連なる路上駐車のせいか、自宅から歩いてすぐの小学校へと変更になっていた。そこは僕と嫁さんが一緒に六年間を過ごした思い出の母校だった。

嫁さんは投票所に行く途中、繋いだ手を大きく振って歩きながら「裏門から入るの初めてかも!」とはしゃいだ。僕は僕で久しぶりの小学校ということではしゃいでいたが、決して他意はないし、そういえば僕の家からダッシュで小学校なのかと再認識した。

裏門から中に入るとそこには昔のままの校舎があった。あったけれど随分と小さく、古めかしい風景のように感じた。小学生の僕が見ていた校舎はもっと大きくて新しくて全体的にピカピカしているはずだったのに、あの頃から随分と成長した僕の瞳にはそうは映らなかった。

僕は学校の新設とともに一年生として入学したので建物の老朽化でそう見えてしまうのは仕方のないことだと思ったし、子どものころって世界が大きく見えるよねーほら、昔は運ぶの大変だった机たちも窓越しから見ると随分小さいよねーってことを考えようと思ったけれど、荒れ放題で手入れされていない花壇を見たときに、感傷的な気分はすっかりなくなっていた。たぶん新しい学舎で六年間過ごせたのは幸運だったんだろうとよくわからないことを漠然と思いながら帰路についた。