夏をたずねて大江千里

夏の終わりはひとそれぞれで、母は高校野球が終わると夏の終わりを感じるらしい。最近の僕にとっては、会社の夏季休暇の終わりがすなわち夏の終わりであって、結局今年ものんべんだらりとお盆休みを過ごしてしまった。親友の一人に誕生日が八月三十一日のヤツがいて、そいつは夏休み最後の日を毎年複雑な気持ちで迎えている相変わらずマセたガキだった。しかしながら、そんなアイツも、そして僕も、子どものころはそうやって、夏の終わりは八月末だと信じて疑わなかった。

大江千里の夏の決心という歌が大好きなのだが、でも、やりたいことを金で買って溜め込んでる僕には夏休みは長いと思うし、一ヶ月でも自由になる時間があれば積みゲー積読もいっぱい崩せるんだぜと日頃から息巻いていて、でも夏休みってそんなライフハックのロスタイム用にあるわけじゃなくて、空が青くて雲が白くて水がキラキラで木がざわざわで、そんな景色を日々体験する時間で、そんな時間を過ごしていたらやっぱり夏休みは短いってことになるわけで、たぶん虫かごと虫あみと麦わらを装備したあの夏の僕はよつばみたいに最強だったんだ。