冬といえば豊田徹也

ゴーグル (KCデラックス)

ゴーグル (KCデラックス)

 

久しぶりに大当たりの単巻漫画だった。

 

まだ月刊アフタヌーンをキラキラと購読していたとき、新人作家が『アンダーカレント』という作品を連載していて、たちまち僕の心を抉って消えていった。

 

しばらくして読みきりを二つほど発表していたが、これは期待はずれであった。その後『珈琲時間』というオムニバス作品を連載していたが、これもどうにもいまいちだった。

 

そうして今回の短編集『ゴーグル』なのだが、こいつはよく出来ていた。表題作の『ゴーグル』と読み切り二つは既読だったが『ミスター・ボージャングル』『海を見に行く』『とんかつ』は今回初めて読んで、そのどれもが素晴らしかった。現役のアフタヌーン読者からしてみれば、なにを今更と言った感じなのかもしれない。

 

豊田徹也という作家を表すとき、どんな言葉が適切だろうかと考えるが、僕の拙い知識と語彙力ではどうにも思い浮かばないので、切なさ乱れ撃ちとでもしておこう。