瑞鳳が轟沈した日

横須賀鎮守府に着任してから早一ヶ月が過ぎようとしていた。日々の任務にも慣れ、遠征も効率よくこなせるようになっていた。駆け出しの新米の頃に比べると随分と慕ってくれる艦娘も増えた。その頃の私は北方海域のキス島撤退作戦成功のために駆逐艦の育成に躍起になっていた。艦上攻撃機のみを満載した空母を随伴して、演習のような実戦を行う日々が続いた。敵艦発見後、すぐに艦攻の爆弾と魚雷が敵を一掃してしまう、戦力差は圧倒的なまでに歴然だった。しかしそこに慢心があった。度重なる戦闘によって瑞鳳は疲弊していたが、それに気付かぬまま私は出撃を指示、敵駆逐艦の砲撃によって瑞鳳は轟沈した。私はそこで初めて己の無能さを知ったのである。